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VRには年齢制限あり!子供が安全にVRを楽しむには?

2024.11.01

VRには年齢制限あり!子供が安全にVRを楽しむには?

VRゴーグル(VRヘッドセット)を利用したVR体験は、大人・子供を問わず楽しいものですが、実は、VRゴーグルの利用には年齢制限があるのをご存知でしょうか。今回はVRゴーグルの利用可能年齢について解説します。

目次

    VRゴーグルの年齢制限は機種やコンテンツによって異なる

    まずは、日本国内で現在多く使われているVRゴーグルの年齢制限を、下の表にまとめました。

    ハードウェア

    年齢制限

    詳細

    Meta Questシリーズ

    10歳以上

    初代Meta Quest(Oculus Quest)発売時は13歳以上だったが、2023年6月から10歳から12歳も利用可能に。ただし、アカウント取得に保護者の承諾が必要

    PlayStation VR2

    12歳以上

    初代PlayStation VRのときから12歳以上で変わらない

    Nintendo Switch

    7歳以上

    2019年4月発売の『Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit』で定められている

    VR体験施設

    施設ごとに異なる

    東京ジョイポリスで運営中の『タワータグVR』は7歳以上がプレイ可。

    また、すでに東京ジョイポリスではサービス終了になっている『ZERO LATENCY VR』は13歳以上がプレイ可能だった。

    その他、年齢以外にも身長制限や保護者の許諾、非VRのアトラクションにはない制限があることも

    なぜVRゴーグルには年齢制限があるのか?

    VRを使う子供

    VRゴーグルに年齢制限が設けられているのには、次の3つの理由があります。

    • 子供の目の成長に影響する可能性がある
    • 子供の脳に影響を及ぼす可能性がある
    • VRゴーグルが子供の頭のサイズに対応していない

    子供の目の成長に影響する可能性がある

    現実のものを見る場合と、VRで3Dオブジェクトを見るときの違い

    医学的な見地から、小さい子供にはVRゴーグルは使用させないほうがよい、という意見があります。小児眼科医の不二門尚氏などによれば、子供の目の発達が安定するのは6歳から7歳ごろとのこと。

    任天堂が定める年齢制限は、このような意見が根拠になっているようです。

    また、2010年にNHK技研が発表した「技研における立体テレビの研究成果」では、現実世界の物体を見るときと、立体視で3Dオブジェクトを見るときのメカニズムの違いを説明しています。

    現実世界において人が対象物を見る際、ピント位置と輻輳(ふくそう)点が一致します。輻輳点とは、人が対象物を見る際に左右の眼球が回転し、両目の視線が交差する点を言います。

    この研究によると、VRで3D映像を見る場合、現実で物体を見る場合と異なり、目のピントの位置と輻輳点が異なるため、目の疲労度が大きくなるのです。

    VRでの映像視聴は目に負担がかかるため、大人でも適切な休憩が必要です。子供であれば休憩の必要性はもちろんのこと、VRの利用そのものにも注意を払う必要があります。

    (参考:小児眼科医に聞く、子どもが「VR」を使ってもいい年齢--Oculus社の見解も|CNET Japan

    子供の脳に影響を及ぼす可能性がある

    VRコンテンツは目(視覚)だけでなく、子供の脳にも影響を及ぼす可能性も指摘されています。2009年、2017年に海外で行われた実験では、小さい子供はVRで表現されるものを現実と混同しやすいという研究結果も出ています。

    一方で、子供でもVRと現実を正しく区別しているのではないかと考えられる観察調査結果もあるため、VRが子供の脳の成長に与える影響の大きさは未知数です。

    ただし、長期にわたるVRの影響についてはまだ十分な研究結果がないため、子供のVRゴーグル(VRヘッドセット)の使用には慎重になるべきという意見が研究者の間では強いようです。

    VRゴーグルが子供の頭のサイズに対応していない

    VRゴーグルで良好な視界を得るために重要な要素のひとつに、瞳孔間距離(Inter Pupilary Distance、IPD)があります。

    IPDとはつまり「瞳と瞳の間の距離」のことですが、既存のVRゴーグルは基本的に成人の頭のサイズを基準に作られているため、そもそも小さい子供には合わないのです。

    IPDが合わないと目の疲れ(眼精疲労)やVR酔いなどを起こしやすいため、子供に限らず健康上よくありません。

    また、子供にサイズが合っている場合でも、先に解説したとおり、6歳以下の児童はまだ発達段階にある視覚に影響を与えるという説もあるため、年齢制限は必要だと考えられています。

    年齢制限に関する各社の見解

    VRゴーグルの年齢制限に対し、Metaと任天堂の2社の見解は次のとおりです。

    • Meta|一定の理解力があることや行動が取れること
    • 任天堂|6歳までの視覚の発達を考慮

    Meta|一定の理解力があることや適切な行動が取れること

    Meta Quest 3

    (出典:Meta Quest 3|Amazon

    Metaでは同社のMeta Questシリーズについて、10歳以上の年齢制限を設けています。

    一方、実際にVRゴーグルを利用する子供に対しては、次の利用条件を挙げています。

    • 警告と指示を読んで理解し、それらに従うことができること
    • 不快感をおぼえたときにその利用を中止できること など

    上記以外にも10歳から12歳の子供については保護者によるアカウント作成が必須で、必要に応じVRコンテンツ利用に制限をかけることもできます。

    任天堂|6歳までの視覚の発達を考慮

    任天堂ではNintendo SwitchのVRモードの利用対象年齢を7歳以上に定めています。これは先に解説した、子供の目の発育を考慮したもの。実際に任天堂では眼科学・視覚研究の専門家に監修を受けたうえでVRモードの対象年齢を設定しています。

    また、VRモードではゲーム内で一定時間ごとに休憩をうながす案内を出すほか、スマホアプリやゲーム機本体でVRモードの利用を制限できるような仕組みも用意しています。

    子供が安心してVRを体験するために必要な3つのポイント

    子供に安心してVRを体験させるためには、次の3つのポイントを押さえることが必要です。

    • VRゴーグルごとの利用可能対象年齢を確認する
    • 保護者の目の届くところでプレイさせる
    • 適切な休憩を取らせる

    VRゴーグルごとの利用可能対象年齢を確認する

    VRゴーグルには年齢制限があり、その年齢は機種ごとに異なります。まずは機種ごとの年齢制限を確認しましょう。

    また、小柄だったり頭が小さかったりする子供の場合、年齢だけでは判断が難しい場合があります。

    年齢制限をクリアしている場合でも、実際にプレイして不快感や体調不良を起こしそうな場合は、すぐにプレイを中断させるようにしましょう。

    保護者の目の届くところでプレイさせる

    VR体験中に子供が不快感や体調不良を訴えた際、すぐに対応できるよう、必ず保護者の目が届く範囲内でプレイさせるようにしましょう。

    とくに小さい子供がVRゴーグルを使用する際は要注意です。

    また、VRは完全に視界をふさぐため、壁や周囲に置いてあるものにぶつかる可能性があります。そうした危険をあらかじめ防止するのも保護者の役目です。

    適切な休憩を取らせる

    長時間のVR体験は目の疲れやVR酔いを起こしやすいです。遊びに夢中になりがちな小さい子供のために、保護者が適切に休憩を取らせてあげてください。

    日本の業界団体XRエンターテインメント協会(EXRA)が2018年に公開した「VRコンテンツのご利用年齢に関するガイドライン」では、連続20分の利用に対し10分から15分の休憩を取ることをすすめています。

    また、Metaも「最大使用時間30分、休憩15分」から少しずつ使用時間を延ばしていくよう説明しています。

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    ルールを守って子供にも楽しいVR体験を

    ゲームなどのエンタメコンテンツとの親和性が高く、子供にも広がりを見せているVR体験ですが、VRゴーグルは「おもちゃ」ではありません。

    利用にあたっては責任ある大人がしっかりと管理し、子供たちが安心してVR体験を楽しめるようにしてあげましょう。

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