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「気持ち悪いのはあなただけじゃない!」“VR酔い”は〇%が経験します!VRで酔いまくった私が語るその対策

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「VR?あー着けてると気持ち悪くて使わなくなっちゃった」

「VR酔いがひどくて・・・」

そう言って去っていった仲間たちをたくさん見送ってきました。

現在、さまざまなメーカーからVRデバイスが発売されており、購入する人はワクワクとした期待感を持っているかと思います。VRデバイスを初めて装着した瞬間の感動は、他のガジェットでは得られない特別なもの。

しかしVR体験には「VR酔い」をしてしまう人が一定数存在します。かくいう私も極度のVR酔いを経験した一人です。

そんなVR酔いに苦しんだ「S・山口」がこれからVRを始める方に伝えたい、VR酔いのエピソードとその克服方法についてお話しします。

VR酔いとは

まずはじめに、「VR酔い」とはVRコンテンツなどを体験している時に起こる、乗り物酔いに近いような状態のことをいいます。

主な原因は目から送られてくる視覚情報と内耳や筋肉、関節から送られてくる加速・減速や揺れ、振動などの情報が一致しないことによる混乱だと言われています。

映像では揺れや加速が表現されているのに、身体は実際にはその刺激を感じていない。そんな情報の不一致の積み重ねでどんどんと気持ち悪さを感じてしまうことになります。

最低でも25%の人はVR酔いをする

実はVRユーザーの25%はVR酔いすると考えられており、要するに4人に1人はVR酔いを経験してしまうと想定されています。

ただし、この数値は実際に統計を取ったものではなく、飛行機に酔ってしまう人の割合をもとに算出されています。

VR酔いの影響を受ける可能性がある正確な人数はまだ分からないが、VRやAR環境を開発するソフトウェアエンジニアは通常、ユーザーの25%が乗り物酔いを経験すると想定している。これは、低高度で乱気流の中を移動する飛行機内で、25%の人が乗り物酔いを経験するというデータにも基づいている。

 (引用元:Motion Sickness in VR: Why it happens and how to minimise it|Virtual Speech)

ただ、私の知人の大多数はVR酔いを経験しているため、「4人に1人よりもっと多くの人がVR酔いしちゃうのでは?」と筆者個人的には感じています。

乗り物酔いをする人はVRでも酔いやすいと言われています。私は車でも船でも飛行機でも、とにかく酔ってしまうため、VR酔いしてしまうのも必然的だったのかもしれません。

これからVRを体験しようとしている人で乗り物酔いしやすい方は、VR酔いもしやすい可能性があると思っておきましょう。

初日からVR酔いを経験

私はガジェット好きで、新しいものが出るとすぐに試してみたくなります。Metaが発売しているMeta Quest 2が素晴らしいと聞いて、早速購入してみました。Meta Quest 2が届き、意気揚々とプレイすると「それ」はすぐに起こってしまいました。

・・・そうVR酔いです。

それはVRを経験する前からやってみたかったVRChatを最初にプレイした当日のことです。初期設定を済ませた後、VRChat内を歩き出した時に、今まで感じたことの無い違和感を覚えました。

例えると「脳みそを左右から手でギュイーーーーンと横に引っ張られる」ような感覚です。

私の30年以上の人生の中で初めての体験で、未だに衝撃的な体験として記憶に残っています。

この時は、まだ軽いVR酔いだったため、「違和感」程度だったのですが、期待を胸に始めたはずの私のVR生活は、見るも無残に崩れ去ろうとしていました。

ソーシャルな場だから途中でやめづらい

違和感は感じたものの、決して安くはないVRゴーグル(Meta Quest 2)を購入してしまったので、簡単に諦めるわけにもいかずプレイを続行しました。

VRChat内では初心者のために基本的なことを教えてくれるユーザーがたくさんいらっしゃいます。初心者だった私にも親切にしてくれたユーザーがいて、基本操作やアバターの変え方、面白いワールドの紹介まで至れりつくせりで教えてくれました。

とてもありがたく楽しい時間だったのですが、お話をお聞きしていると、どんどんプレイ時間が長くなり、徐々に吐き気と頭痛の症状が・・・。親切にしてくださった手前、途中で抜けるのが申し訳なく、切りが良いところまで続けようとした結果、最終的には「もうVRはやりたくない!」と思うほどひどく酔ってしまったのです。

VRChatのようなソーシャルな場だと、なかなか自分のタイミングでやめられない。その結果、私のようにVR酔いを悪化させてしまう方も多いのではないでしょうか。

私はその経験からVRを付けることを半年ほど避けてしまいました。

VR酔いの対策とは

極度のVR酔いをしてしまいましたが、私は簡単には諦められませんでした!

せっかくVRゴーグルを買ったのだから、何とか対策はできないものか?とさまざまな情報を探しVR酔いを克服しました!

その中で、個人的に効果があったものを5つご紹介します。

①瞳孔間距離の調整

瞳孔間距離(IPD:Inter Pupilary Distance)とは右目と左目の瞳孔がどれくらい離れているかを示す数値です。

瞳孔間距離がデバイスでしっかり調整できていないこともVR酔いに繋がります。定規などで測ることもできますが、正確に計測するのであれば眼科に行って計測してもらうことをおすすめします。

メガネを作ったことがある方は既に計測済みなはずなので、眼科や購入したメガネ屋さんに問い合わせてみるとデータが残っているかもしれません。

メガネを作ったことが無い方、瞳孔間距離を測ったことない方はVRデビューをきっかけに一度計測に行くのも良いかもしれません。

②リフレッシュレートを高く設定する

リフレッシュレートを高く設定することで、画面が滑らかに表示され、VR酔いを軽減する効果があると言われています。

中国の西交利物浦大学(Xi'an Jiaotong-Liverpool University)がVR酔いとリフレッシュレートが関係しているという研究データを公開しました。リフレッシュレートが120Hzを超える高品質な環境でプレイするとVR酔いをする確率が減るというものです。

現状120Hzに対応している機種は「Meta Quest 3」などの高価格帯のデバイスになるため、環境整備にはお金がかかってしまいますが、快適に過ごしたい方は是非検討してみてください。

▽関連記事:リフレッシュレートって何?フレームレートとの違いも解説【知っておきたいXRの専門用語】
https://www.xr-lifedig.com/beginner/240408_01

③休憩をはさんで徐々に慣らす

環境整備も重要ですが、それで全て解決されるわけではありません。少しでも症状が出たらVRデバイスを外して休憩しましょう。

VR酔いは焦らず徐々に慣らしていくことにより克服することが可能です。

VRユーザーはVR酔いに関して寛容な方が多いので、ソーシャルな場であっても酔ってしまったことを正直に伝え、プレイを中断することをおすすめします。

酔う前にやめることがVR酔いしないためには非常に重要です。

④体調を整える

乗り物酔いと同様に、身体の調子が悪いとVR酔いしやすくなります。出来るだけ疲れていない健康な状態で行うことをおすすめします。

寝不足や二日酔いなどは特に危険。万全の体調でプレイしましょう。

⑤酔い止め薬を飲む

「VR酔いにも酔い止め薬は効くの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、実はとても有効な対策方法だとされています。

例えば、大正製薬の「センパア Pro」は、反射性の吐き気と、平衡感覚の乱れによるめまい・吐き気に対応し、車や飛行機、船などの移動はもちろん、テーマパークのライド系アトラクションや3D酔い、VR酔いにも効果を発揮するそうです。

症状が出てしまった後からでも有効なものも多く、初めてのVR体験時には用意しておくと良いでしょう。

「酔ってしまったらどうしよう・・・」という不安は酔いを加速させてしまいかねません。

薬があるというだけで精神的な安定も得られるのでとてもおすすめです。

VR酔いを克服できたのは経験者からのアドバイス

再びVRに戻ろうと思ったきっかけは、同じくVR酔いを経験した人からのアドバイスでした。

それは

「VR酔いは他の乗り物酔いとは違い、症状が出たらすぐにやめられる。少しずつ慣らしていくことで克服できる。」

という言葉です。

船や飛行機などは一度乗ってしまったら到着するまで降りることは出来ません。しかし、VRは辛くなったらいつでも止めることが可能です。

私の中で勝手にVR酔いも乗り物酔いと同じように逃げられないものと捉えていたのかもしれません。

もう酔いたくないという気持ちが先行して、当たり前のことに気付けませんでした。

この言葉があったから、現在は快適なVRライフを満喫できています。

この記事を執筆しようと思った理由も、これからVRを経験する方に、VR酔い経験者として「大丈夫!みんな経験しているよ!」「克服できたよ!」というアドバイスがしたかったからです。

VRはすぐにやめられるということを忘れず、プレイしていきましょう。

最後に

私もVR酔いを経験し、挫折しそうになった人間です。しかし、今ではVR酔いを乗り越えVRライフを楽しんでおります。

酔いやすい方も悲観せず、ゆっくりと気長に続けて行くことが重要です。

無理をせず、自分の身体と相談しながらVRライフを楽しんでください。

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この記事を書いた人
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