コラム

Metaの「次の一手」はアスリート狙い?Oakleyと新たなスマートグラスを開発中

2025.05.21

Metaの「次の一手」はアスリート狙い?Oakleyと新たなスマートグラスを開発中

MetaとOakleyがタッグを組んで、新たなスマートグラスの開発を進めているとの報道がありました。

両社が開発するスマートグラスはアスリートがターゲットとされていますが、果たしてどのような製品になるのでしょうか?

目次

    Ray-Ban Metaで成功を収めたMetaの「次の一手」は?

    Metaはライトなスマートグラスの販売元として他社よりもリードしています。ご存知のとおり、2023年9月に発売された「Ray-Ban Meta」(日本未発売)は、世界中で大ヒットとなりました。なんでも、2024年には年間100万台以上の販売実績を遂げたとされています。

    2025年1月に米国ラスベガスで開催された電子機器の見本市「CES 2025」でも、Ray-Ban Metaを想起させるようなスマートグラスが多数出展されていました。このことからも数多くのメーカーが、機能的にライトなタイプのスマートグラスに商機を見出していることが分かります。

    報道によるとMetaのCEO マーク・ザッカーバーグ氏は、Ray-Ban Metaの実績を非常に高く評価するとともに、いち早くライトなスマートグラスの事業をさらに成長させるべきと、社員たちを鼓舞しているようです。

    そんなMetaの次の一手が徐々に明らかになってきました。

    それは「Oakley」ブランドのスマートグラスの発売です。いくつかのTech系サイトでその情報が報じられていますが、2025年の後半に販売開始が計画されているそのスマートグラスは、コードネーム「Supernova 2」とされ、Oakleyのアスリート向けの定番サングラス「Sphaera」シリーズをベースに設計されているそうです。

    ▽関連記事
    海外で爆売れ!スマートグラス「Ray-Ban Meta」
    CES 2025で存在感を示した"ライト"なARグラス

    Oakleyは独自のテクノロジーをもつアスリート御用達ブランド

    ところでOakleyとはどんなブランドなのでしょうか?それこそサイクルスポーツやアウトドアスポーツを嗜む人ならご存知でしょうが、インドア派の人にはあまり馴染みがないかもしれません。

    Ray-Banが日常使いのサングラスブランドである一方、Oakleyはスポーツで利用するゴーグルやサングラス、アパレルウェアを提供するブランドとして有名です。

    しかし、ただスポーツに特化しているだけでなく、デザイン性や機能性、さまざまなテクノロジーを採用していることが特徴。NASAの宇宙飛行士のアイウェアにもOakleyブランドが採用されているといいますから、その技術の高さがうかがえるというものです。

    例えば、Oakleyが有する高性能なレンズテクノロジー「Prizm」は、クリアな視界と天候に左右されないコントラストを生み出し、誰もが快適な視界を体感できるといいます。

    「Plutonite」もOakleyのレンズテクノロジーの1つで、素材自体が400nmまでの紫外線(UVA/UVB)をカットしたり、耐衝撃性能があったりと、さまざまな機能を備え、Oakleyの全てのサングラス製品に採用されています。

    先ほど触れたSphaeraシリーズにも、それらのテクノロジーが盛り込まれ、スポーツに取り組むアスリートの意見を取り入れたデザインおよび設計になっています。

    250521_02.webp

    そんなSphaeraシリーズをベースにしているところからも、新たなスマートグラスSupernova 2は、先行しているRay-Ban Metaと外観が大きく異なることが予想されています。 

    具体的な予想としてはカメラがフレーム中央部に設置され、Ray-Ban Metaには搭載されていなかったレンズへの投映機能が搭載されるのではと噂されています。ただ、投映される画像は高精細なものではなく、道案内をしたり通知を表示する程度のシンプルなものになりそうです。

    価格は1,000ドル前後で、Ray-Ban Metaよりは高価格。そしてMetaが開発中のXRインターフェース「ニューラルリストバンド」が付属するとも推測されています

    そして面白いのはOakleyは、言わばRay-Banと兄弟ブランドだということです。どちらもイタリアのアイウェア企業、EssilorLuxottica(エシロールルックスオティカ)社の有するブランドなのです。

    デザイン性を優先した日常使いのRay-Banブランドと、スポーツとハイテク指向の強いOakleyと、その特徴は大きく違いますが、どちらも同じ企業のブランドであるというところは非常に興味深いところです。

    方向性が大きく異なるこれらのブランドでスマートグラスを展開していくのは、マーク・ザッカーバーグ氏がこのジャンルでMetaの覇権を狙っている証拠なのかもしれません。 

    Metaは商品ラインナップを幅広く展開しそう

    そんなMetaは、Ray-Ban Metaの販売を継続していくとともに、Meta QuestシリーズのようなVRヘッドセットに加えてさまざまなスマートグラスを投入していくと噂されています。

    ビジネス系情報サイト「BUSINESS INSIDER」がMetaの社内メモリークを報道しており、それによると2025年にMetaは、6種類のAIウェアラブル端末をリリースする予定だということです。一体どのような製品が登場するのでしょうか?

    250521_03.webp

    MetaとOakleyとの提携製品Supernova 2は、現行のRay-Ban Metaよりもう少しリッチな機能を備えたスマートグラスとして登場することになりそうです。さらにSupernova 2と機能が似たRay-Banブランドのグラス、コードネーム「Hypernova」が発売されるとも噂されています

    また、ARグラス開発プロジェクト「Project Aria」における次世代モデル「Aria Gen 2」も発表されています。

    こちらはあくまで研究開発プロジェクに伴うARグラスですが、内蔵されるカメラとMetaのAIを使って現実空間の3Dマッピングが可能な他、音声までも拡張する機能を搭載するなど、一般ユーザーにとっても気になる機能を備えています。

    もっとも、Metaが正式に発表したのはAria Gen 2についてのみなので、まだまだ不透明な情報が多いのは確かでしょう。これら以外にもまったく予想されていないARグラスが何機種かありそうです。

    しかし、Metaが機能的にライトなものからリッチなものまで幅広いスマートグラスを2025年にラインナップし、他社よりも市場シェアを占めていく可能性は高そうです。今年のMetaの展開を心から楽しみにしてウォッチしていきたいものですね。

    ▽関連記事
    「Ray-Ban Meta」を巡るテック界の動きがアツい

    この記事を共有する

    関連記事