
海外旅行で言葉が通じず困った経験はありませんか。リアルタイム音声翻訳があればもう大丈夫です。
最新の技術で言葉の壁をなくし、世界中の人と自由にコミュニケーションを取れる未来がすぐそこまで来ています。
本記事ではリアルタイム音声翻訳が役立つシーンやおすすめのデバイスを紹介します。
音声翻訳をリアルタイムで実現する方法はさまざまな"形"で登場しはじめている
日本における国家プロジェクトとしての自動音声翻訳の研究は1986年に始まりました。
その約25年後である2010年には、無料の音声翻訳アプリ「VoiceTra」が登場し、スマートフォンアプリ上や翻訳機デバイスによって、音声翻訳がより身近なものになりました。
近年では、スマートフォンアプリや専用デバイス以外の方法でもリアルタイム音声翻訳が可能になり、イヤホンやXRデバイスにリアルタイム音声翻訳機能が搭載されはじめました。従来よりも手間をかけずに、タイムラグのない自然な翻訳が実現されてきています。
また、グローバル化の進展に伴い言葉の壁を超えたコミュニケーションの重要性が高まっています。こうした背景から、総務省は2020年3月に「グローバルコミュニケーション計画2025」を策定しました。
同計画では、ARやウェアラブル端末を活用した仮想現実トレーニングや、さまざまなデバイスを利用しての同時通訳の活用など、リアルタイム音声翻訳の社会実装を推進しています。
リアルタイム音声翻訳が役立つ3つのシーン
リアルタイム音声翻訳が役に立つシーンの一例を3つ紹介します。
- 海外旅行や海外出張での利用
- 国際会議や海外とのオンラインミーティングでの利用
- 日本国内での外国人とのコミュニケーションや語学学習での利用
海外旅行や海外出張での利用
海外旅行や海外出張の際にリアルタイム音声翻訳があれば、さまざまな場面でスムーズにコミュニケーションが可能です。
たとえば、現地のレストランで食べたい料理を正確に伝えたり、ホテルで特別な要望を伝えたりすることができます。特に苦手な食べ物や食物アレルギーを持っている方であれば、音声翻訳を使って自身の食べられないものを正確に伝え、安心して食事を楽しむことができるでしょう。
また観光地で道に迷った際に、現地の人に訪ねたり、おすすめの観光スポットを聞いたりすることも簡単になります。
国際会議や海外とのオンラインミーティングでの利用
ビジネスのグローバル化が進む中、国際会議や海外企業とのオンラインミーティングは日常的なものとなりつつあります。
しかし、同じ言語の話者同士でも、オンライン上のコミュニケーションでは相手の表情やジェスチャーが見えづらく、微妙なニュアンスが伝わりにくい場合もあるでしょう。
相手が他言語話者の場合は、そこに言語の壁が加わり、より一層コミュニケーションを難しくしてしまう場合があります。
そのようなときにリアルタイム音声翻訳を活用すれば、参加者がそれぞれ自分の母国語で発言しながら、相手の発言内容をリアルタイムで理解可能です。
言語の壁によるストレスを軽減し、お互いの理解を深めながら、より活発な意見交換や議論を促進できるでしょう。
日本国内での外国人とのコミュニケーションや語学学習での利用
近年インバウンド需要の拡大もあり、国内でも外国人とのコミュニケーション機会が増えてきました。
特に観光地や宿泊施設、飲食店などでは、外国人観光客とのスムーズなコミュニケーションの実現のために、リアルタイム音声翻訳の導入が推進されています。
また、教育現場においてもリアルタイム音声翻訳の導入が進んでいます。音声入力で自分の話した言葉を翻訳し、発音の正しさの確認することで自然な言い回しを学習可能です。
自動翻訳ツールによって、学生の学習意欲が高まったという研究論文も発表されており、今後教育現場に自動翻訳ツールを取り入れていくべき、という声も出ています。
音声翻訳がリアルタイムで行えるデバイスの5つのタイプ
リアルタイムで音声翻訳を行えるデバイスについて、5つのタイプ別に紹介します。
- スマートフォン
- パソコン
- 翻訳イヤホン
- グラス型デバイス
- 翻訳専用デバイス
スマートフォン
音声翻訳アプリを利用すると、日常的に使用しているスマートフォンが音声翻訳デバイスへと早変わりします。スマートフォンは常に持ち歩いているため、必要なときにすぐ翻訳機能を使える点がメリットです。
従来の翻訳アプリは、主にテキストを入力して翻訳結果を表示するものが主流でした。しかし、AI音声認識技術の進化により、音声を認識してリアルタイムで翻訳してくれる音声翻訳アプリが登場しています。
スマートフォンでリアルタイム音声翻訳を行うアプリには下記のようなものがあります。
■ Google翻訳
Google翻訳は、Googleが提供する完全無料の翻訳アプリです。2024年7月時点で約250言語に対応しています。
オフラインでも使用可能のため、インターネットに接続できない環境でも安心です。音声翻訳以外にも、リアルタイムカメラ翻訳や手書き入力など、多彩な翻訳機能を備えています。
■ VoicePing
VoicePingは、45ヶ国語に対応し、翻訳結果の保存やAI要約機能などを搭載した音声翻訳アプリです。オフライン翻訳にも対応しており、海外旅行やセミナーなど、さまざまなシーンで活用できます。
「無料」「スモール」「プレミアム」「エンタープライズ」の4つのプランがあり、それぞれ使える機能が異なります(2025年1月調べ)。
パソコン
リアルタイム音声翻訳機能を搭載したツールを活用すると、パソコン上でのオンラインミーティングや海外のウェビナーなどの理解がスムーズになります。
また、音声を字幕として表示することで、書き起こしによる議事録の記載漏れのリスクを軽減できる点もメリットです。
パソコン上で使えるリアルタイム音声翻訳ツールには以下のようなものがあります。
■ Webex
Webexは、アメリカ国家安全保障局からセキュリティ面で最高評価を受けているWeb会議ツールです。
13の音声言語を認識し、100以上の言語で字幕表示が可能なため、会議の参加者がそれぞれ異なる言語を話す場合でも、円滑なコミュニケーションを促進できます。
リアルタイム翻訳・文字起こし機能を利用するには、基本料金にプラスして1ライセンスあたり月額4,290円のオプション費用が必要です。(2025年1月調べ)
■ Zoom

(出典:Zoom Team Chatがさらに進化|ZVC JAPAN 株式会社)
Zoom内の「Zoom翻訳版字幕」という機能を使うと、35の言語をリアルタイム翻訳し、字幕として表示できます。
翻訳機能は、ミーティングやウェビナーだけでなく、Zoom Team Chatでも使用可能です。
翻訳機能を利用するには、Zoom有料版(Zoom Workspace)ライセンスを購入したうえで、月額750円のオプション費用が必要となります。(2025年1月調べ)
翻訳イヤホン
翻訳イヤホンはハンズフリーで双方向の同時通訳が可能なデバイスで、まるで通訳者が隣にいるかのようなリアルタイムな会話を実現します。
従来の翻訳機のように、話した後に翻訳結果を待つ必要はありません。相手の発言を聞きながら、ほぼ同時に翻訳された音声を聞くことが可能で、スムーズなコミュニケーションを図れます。
また、翻訳イヤホンには音楽鑑賞や通話など、通常のイヤホンとしても使用できるものもあるため、音声翻訳を日常生活に取り入れやすいでしょう。
翻訳イヤホンには下記のようなものがあります。
■ Timekettle WT2 Edge
世界初の双方向同時通訳イヤホン Timekettle WT2 Edgeは、わずか0.5秒で翻訳が可能です。
インターネット接続に対応しており、オンライン環境のみで使えるタイプ(税込3万4,980円)とオフライン環境での翻訳も可能なタイプ(税込3万9,980円)の2種類が用意されています。
オンライン接続で40の言語と93のアクセントの翻訳に対応しており、オフライン環境では、8つ言語(日本語・英語・中国語・韓国語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語)の翻訳が可能です(製品価格は2025年1月調べ)。
グラス型デバイス
近年、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)を含むXR技術の発展により、さまざまなグラス型デバイスが登場しています。グラス型デバイスでもアプリケーションを活用することでリアルタイム音声翻訳が可能です。
リアルタイム音声翻訳ができるグラス型デバイスには下記のようなものがあります。
■ MiRZA
MiRZA(ミルザ)(税込24万8,000円)は、軽快な掛け心地と高度な機能を備えたXRグラスで、XRAI,Inc.が提供する翻訳サービス「XRAIGlass」にも対応しています。
140ヵ国以上の音声言語をリアルタイムで翻訳しつつ、レンズ上に翻訳した言語を字幕として表示します。
たとえば、ネイティブスピーカーとの会話でも、即座に日本語字幕が表示されるため、日常会話や海外との会議などで、言語の壁を超えたコミュニケーションが可能です。
その他にも、エンターテインメントや教育、産業用途など、多岐にわたる分野での応用が期待されている、毎日の「見る」をあたらしくするデバイスです(製品価格は2025年1月調べ)。
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■ Solos AirGo 3
ChatGPTを搭載したオーディオスマートグラス Solos AirGo 3(税込約3万円〜4万円台 ※日本円価格は随時変動)は、音声を通してChatGPTと会話したり、音楽を聴いたりできるグラス型デバイスです。
前面指向性マイクを搭載しており、取り込んだ音声をChatGPTが翻訳しテキストに変換、変換後は音声としてスピーカーから出力する形でリアルタイム音声翻訳を実現しています。
専用アプリには無料プランとプレミアムプラン(月額9.99ドル)があります(製品価格・プラン価格は2025年1月調べ)。
翻訳専用デバイス
翻訳専用デバイスは、音声翻訳に特化した機能を備えており、より高精度でスムーズな翻訳が可能です。
ディスプレイを搭載したモデルでは、話した言葉や翻訳結果を文字で確認できます。
また、SIMカードを挿入してインターネットに接続できるタイプであれば、Wi-Fi環境を気にすることなく翻訳機能を利用できます。
また、カメラ機能を搭載したモデルであれば、文字を撮影して翻訳も可能です。
翻訳専用デバイスには下記のようなものがあります。
■ ポケトークS2
ポケトークS2(税込3万6,300円〜)は、音声翻訳機販売金額シェアNo.1を誇るAI翻訳デバイスです。74以上の言語に対応し、双方向に自動翻訳できます。
音声翻訳機能以外にも、文字を撮影して翻訳する機能や、AIを相手に会話レッスンを行える機能を搭載しています。
SIMカードに対応しており、Wi-Fi環境を気にせずに使用できる点もメリットです(製品価格は2025年1月調べ)。
■ Vasco Translator V4
Vasco Translator V4(税込4万5,000円)は、通信料永久無料のSIMカードを内蔵しており、約200の国と地域で利用できます。
音声翻訳は76言語、カメラ翻訳は108言語と、対応言語数の豊富さが特徴です。
スタイリッシュな見た目なので、見た目にこだわりたい方にもおすすめです(製品価格は2025年1月調べ)。
リアルタイムな音声翻訳は実現している。自分に合うデバイスを見つけてみよう。
リアルタイムな音声翻訳はさまざまなデバイスで実現されており、言葉の壁はなくなりつつあります。自分に合ったデバイスを見つけて、コミュニケーションの幅を広げてみてはいかがでしょうか。