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やっぱり気になるMetaとApple、両社の動きを整理してみる

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ここ数年のXR市場を強力に牽引してきたMetaですが、今後のロードマップがちょっぴり見えてきました。

そして2024年に「Apple Vision Pro」をひっさげて颯爽とXR市場に参入したAppleについてもまた今後の動きが噂されるようになってきました。

そんな両社の動向から、XR市場の動きを予想してみましょう。

Meta Questシリーズ新製品登場の噂

2021年の社名変更以降、MetaはXR市場を牽引する企業として注目されてきましたが、2023年10月に発売された「Meta Quest 3」がユーザーから大きく支持されたことでその立場をいっそう強固なものとしました。

2024年10月には「Meta Quest 3S」を発売し、お手頃価格で新規ユーザーの関心を集めています。

さらに、同時期に発表された「Orion」は同社初のARグラスとして注目を集めています。そんなMetaについて、海外メディアの情報から今後の動向が見えてきました。

Tech系ビジネス誌『The Information』の報道をもとにXR情報サイト「Road to VR」が掲載した記事によれば、Metaは2026年に「Meta Quest 4」シリーズを2機種、2027年にはハイエンドモデルの発売を計画しているといいます。

Meta Quest 4については、標準的モデルの「Pismo Low」(コードネーム)と、プレミアムモデルの「Pismo High」(同)がラインナップされる計画で、プレミアムモデルが「Meta Quest 4」、標準モデルが「Meta Quest 4S」になるのでは、と予想されています。

しかし、2027年発売と噂され、「Meta Quest Pro」の後継機と言われていたハイエンドモデルについては、すでに計画が中止されたと報じられています。

市場に新風も高額モデルは受け入れられるか?

確かにMetaはMeta Quest 3のヒットで業績好調にも見えますが、XRデバイスおよびメタバース関連技術の研究・開発を行なっている社内組織、Reality Labsの予算削減が続いていることがたびたび指摘されています。

Reality Labsは長きにわたる赤字続きのため、2026年までに約20%の支出削減を求められています。

それでもReality LabsはMeta Quest 3の成功によって2023年第4四半期には10億の収益を上げていて、一定の成果を収めています(とはいえ支出は57億2,000万ドルなので大幅な赤字なのは間違いありません)。

そしてMeta Quest Proは、エンタープライズビジネスやプロフェッショナルでも利用できる高性能を備えていましたが、その価格の高さ(発売時には約1,500ドル)と一般ユーザー向けの機能に欠けていることなどから、大きなヒットとはなりませんでした。

Reality Labsの予算削減と前モデルの不振が関係して後継機の開発が断念されたのかもしれません。

一方で、Apple Vision Proが注目を集めたことによって、XRデバイス市場の風向きが変わったという見方もあるようです。

Apple Vision Proの販売価格は発売時には3,500ドルで、Meta Quest Proよりもはるかに高価格です。もちろん「Apple製品」という意味合いで熱烈なAppleファンからの人気を博したという側面はあるでしょう。

(出典:Apple Vision Proが登場 — Appleが開発した初の空間コンピュータ|Apple

また、実際のところその高額さがネックとなって第二四半期の米国での販売台数は75%減り、販売台数は50万台に届かないという予測もあるようです。

今後、高価格帯のXRデバイスが市場に受け入れられる可能性もあるかもしれませんが、その行方はApple Vision Proの売れ行きにも左右されそうです。

「Orion」も登場して幅広いXRデバイスが求められる?

こういったXRデバイス市場の変動がある中で、冒頭で触れたようにMetaは当面は廉価モデルと標準モデルの二本立てスペックおよび幅広い価格帯で製品展開していく計画のようです。

そしてAppleもまたさまざまな思惑で後継機の計画を進めているようです。Forbesの記事は、廉価版のApple Vision Pro後継機の準備が進められていると報じています。

廉価版とはいっても1,500~2,000ドル程度なので、そこまでのお手頃感はありませんが、3,500ドルという価格のためにApple Vision Proの購入に二の足を踏んでいるユーザーには刺さる製品かもしれません。

そしてXRデバイス市場に求められているのは、幅広い価格帯だけではないようです。冒頭で触れた、Metaの「Orion」(コードネーム)がその証拠です。

Metaが発表したOrionは、AR(拡張現実)を実現するグラス(メガネ)タイプのデバイスです。メガネ越しに現実空間を見ながら、視界に文字や画像、動画といったデジタル情報を重ねることが可能です。

専用リストバンドを装着することでユーザーのハンドアクションで操作でき、アイトラッキングで視線操作ができる完全ハンズフリー操作を実現するそうです。

より詳しい情報はまた別の機会にお伝えしますが、MetaのCEO Mark Zuckerberg氏が「初めての完全な機能を備えたARグラスだ」と胸を張るほど、OrionはMeta、ひいてはZuckerberg氏が目指す理想のメタバース像を実現する製品になりそうです。

一般ユーザーが製品を手にするのはまだまだ先のようですが、大きな期待が寄せられています。

そしてOrionのようなグラス型のXRデバイスは続々と市場に投入されています。

NTTコノキューデバイスが2024年10月に発売した「MiRZA」もまたグラスタイプのXRデバイスで、国産のXRデバイスとして非常に注目されている1台です。

OrionやMiRZAといったグラスタイプのXRデバイスが注目を集めていることもまた、XRデバイス市場の動きということでしょう。幅広いスペックや価格帯の製品だけでなく、ゴーグルタイプやグラスタイプといったユーザーの使い方にあわせた多様なスタイルの製品が求められるようになっていくのではないでしょうか。

それに応じて、MetaやAppleはもちろん、多数のメーカーがしのぎを削りながら、柔軟な製品展開をしていくことが予想されます。今後のXRデバイスの選択肢が充実するのは、とても歓迎すべきことでしょう。

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