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ハーフミラーとは?XR以外の分野でも広く使われる特殊な鏡について詳しく解説!

2025.08.06

ハーフミラーとは?XR以外の分野でも広く使われる特殊な鏡について詳しく解説!

目次

    ハーフミラーとはどの位置から見るかで見え方が変わるガラスのこと

    ハーフミラーとは特殊な加工を施した、どの位置から見るかで見え方が変わるガラスのことです。

    周囲が明るい側から見ると鏡のように見え、ガラスの向こう側は半透明に見えたり、完全に見えなくなったりします。

    反対に暗い側から見ると、普通のガラスと同じように透明で、ハーフミラーの向こう側の光景が見えます。

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    ハーフミラーは、下記のようにさまざまな製品に利用されています。

    • マジックミラー

    • 建築物の窓ガラス

    • プロンプター

    • 航空機や宇宙服のヘルメットのバイザー

    • ミラーサングラス

    • 自動車に搭載するヘッドアップディスプレイ など

    テレビドラマなどで登場する警察の取り調べ室や、バラエティ番組などで見かけることのあるマジックミラーもハーフミラーの一種です。光の透過率や反射率が他のハーフミラー製品と違うだけで、原理はハーフミラーと同じです。

    ハーフミラーの種類は大きく2つ

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    ハーフミラーには素材や工法の違いにより、「金属ミラー」「誘導体ミラー」の2種類に大きく分けられます。

    • 金属ミラー

    • 誘電体ミラー

    金属ミラー

    金属の薄い膜をガラスやアクリル板に焼き付けて(蒸着)作られるのが金属ミラーです。金属ミラーに使われる素材にはアルミニウム・金・銀・銅などがあります。

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    金属ミラーはガラスやアクリル板に重ねる金属膜の厚さで光の透過率・反射率を調整できます。一般家庭にある鏡のほとんどは金属ミラーで、光の透過率が低く、反射率も高いため"鏡"になるのです。

    また、金属ミラーには赤外線や紫外線も反射しやすく、遮熱効果もあります。一方で、金属ミラーは電磁波を吸収・反射してしまうため、通信機器などでは使えない場合があります。

    誘電体ミラー

    誘電体ミラーとは、ガラスやアクリル板などの透明な板を、基本的には電気を通さないが、一定の条件下で電気を貯めることができる素材(誘電性素材)の多層膜で薄く覆って作られたものです。

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    誘電体ミラーは電磁波を透過させる性質があるため、スマートフォンやパソコンなどの通信機器で使われるケースが多くみられます。

    また、誘電体ミラーは特定波長の光のみ透過しやすくするなど、波長を制御することもできます。たとえば虹色のような特徴的な表面色にしたり、見る角度によって色が変わったりするのも誘電体ミラーの特徴です。

    XRデバイスにおけるハーフミラーの使用例

    ハーフミラーを使用している代表的なXRデバイスには、XREAL AirシリーズVITURE Proなどがあります。

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    (出典:新商品「XREAL Air 2」10月16日より量販店およびAmazonでの販売開始|XREAL

    XREAL AirシリーズやVITURE Proでは、下図のようにディスプレイの映像(光)をハーフミラーで反射させて使用者の目に届ける仕組みになっており、この方式を「バードバス」(Birdbath)と呼びます。

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    XRデバイスにハーフミラーを採用した別の例では、JVCケンウッドが2021年に発売したヘッドマウントディスプレイ「HMD-VS1W」があります。

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    (出典:ヘッドマウントディスプレイ「HMD-VS1W」を発売|株式会社JVCケンウッド

    同製品は映像を投影する本体前面部にハーフミラーを使用しており、3DCGなどのデジタル情報に加え、外部の光景も透過して見ることが可能です。

    ハーフミラーを通して自分の周囲の光景がそのまま見えるため、医療や建築など、機器や重機の操作を伴う分野での利用に適しています。

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